#229 / 滝穴信仰

滝穴信仰。松ヶ枝にある金比羅大本院に穴滝信仰に関連する穴滝八大竜王像がある

住所
〒047-0012 北海道小樽市天狗山
緯度、経度
43.139602, 140.932402
※あくまで目安であり正確な情報ではない場合がありますのでご注意ください
由来

#229 / 小樽市 金比羅大本院(滝穴信仰)にて。

参考資料・情報など
現地確認状況
2020/6/14 確認済
その他

7時前に札幌を出発。今回の行程を考えて、昨年手に入れた(妹に押し付けられた)カブで小樽に向かう。 早朝の空気はすがすがしい。まだ車の数も少なく、蟠渓から西野を経て5号線を走る。 コロナ禍、ザックの中に水も食事も用意。 三脚のつけやすさを優先して新調したミステリーランチのハンティングモデルが快適。 重さを感じないとまではいかないが、のんびりと焦ることなく向かう。 いつも予定をぎりぎり詰め込んでの撮影が多かったが、今回は余裕を持ったスケジュールにした。 おかげで疲れもそこそこで、行った当日に記事までまとめる気力がある。

そんなこんなで2時間弱で道に迷うこともほとんどなく目的地に向かう。 小樽についてからは勝納川を遡上する。まもなく浄水施設、そこから林道で砂利道。 ファミリーカーだと辛いところだが、悪路も強いのがカブ。 ゆっくりと上へと向かう。昨年林道で熊に遭遇しているので、曲がり角の前では慎重に、見通しが悪い時にはクラクションをならしながら林道を走った。 多少時間はかかったが、一本道で迷うことなく分かれ道まで到着。 林道から穴滝の分岐には看板が掲げてある。林道から500メートル。 穴滝はその風光明媚さから来訪者が少なくないようで、トレランシューズで向かったが靴の選択は完全に間違えた。

すぐに左手に小沼が出現し、そこから道はぬかるんでいる。 前日の雨の影響もあるのだろうが、それだけではなく常に悪路の雰囲気。 なんとか靴を濡らさないように慎重に滝を目指す。 2度ほど川を横切って、水の音が大きくなってきた。 洞窟の頭が見える。胸が高鳴る。 岩を超えたら流れ落ちる滝が見えた。 水量は少ないと感じたが、それでも滝となって落ちるさまは十分に見ごたえがあった。

洞窟の内部はひんやりとしていて、一足踏み入れると雰囲気が一変する。 人の踏み跡が砂の上そこかしこに見られたが、それだけこの場所が人を惹きつけるということだろう。 壁面のくぼみに15センチほどの石がいくつか立てかけてある。 ここが信仰の場所であることがそれらが積み重ねてきたであろう時間の蓄積によって感じられる。 こういう場所にいると、今地震が起きたらおしまいだ、と多くの人が思うだろう。 ひとりでいるとその感情が高まり、撮影しては離れ、そしてまた中に入ってを繰り返していると、入り口付近で追い抜いた夫婦のような雰囲気の男女があがってきた。

穴滝への道の途中、山側にあった分岐は縦走路だという。 この辺りは塩谷丸山、天狗山などへの縦走路になっているという。 また、歩いてきた道は毛無峠に続いているという。 穴滝から林道へ戻る途中に一緒になった登山の方に詳しく教えてもらった。 縦走するなら藪が濃くなる前の春が、見通しも良く虫も少なくておすすめだという。 塩谷までJRで行って、小樽南に返ってくる。30キロ超の縦走。楽しそう。 かつてはピーク以外に興味がなかったし、今は目的地まで行くことのみに集中してきたけれども、 縦走しながら長い距離を歩くというスタイルを今後取り入れていきたい。 ゆっくりと時間をかけて景色を体感することによって経験は豊かになる。

帰り道にぬかるみに両足ともに足をとられてしまい、くたびれてきたトレランシューズが汚れてしまった。 壊れるまでまだまだ活躍してもらおう。 その後、公園で昼食の際に水道で靴を洗わせてもらった。 汚れているが乾いている靴と、きれいだけど湿っている靴だと、今の私はきれいな方を選ぶようだ。

そんなこんなで穴滝訪問を無事に終え、入り口付近の公園っぽいところで小腹がすいたので、休憩を兼ねてインスタントラーメンとコーヒーを飲む。 トレラン軍団が楽しそうに駆け上がっていった。どこまで走っていくのだろうか。 山道に差し掛かって、律儀にしていたマスクを外しながら林道に向かっていった。 集団行動に向いていない自分はほとんど一人で行動しているが、たまには集団でのアクティビティも悪くないのかもと彼らの背中を見ながら考えた。 でもやっぱり、自分の好きなタイミングで動いて休んで行動するのが自分には適しているんだろうな。

この後、滝穴のご神体があるという「金毘羅大本院」に向かった。 小樽の道は細く坂が多く、曲がって入り組んでいる。 札幌の碁盤の目に慣れた体にはそれがまた新鮮で、本州の町を歩いているような感覚になる。 道は町の歴史と直結している。ゆっくりと時間をかけて、営みの中で道が作られてきたのであろう起伏を踏みしめて小樽を歩いた。 今年は小樽のことを知る年にしたい。

最後に付け加えておくが、これを見て万が一穴滝に行こうと思った方は、登山靴と虫よけとクマよけの鈴を持っていくことをお勧めします。

https://otarusanpo.exblog.jp/27056321/ こちらの記事のコメントに祠があったとあるが、それについての情報はどこかにないだろうか。また金毘羅さんにお邪魔したら尋ねてみよう。

2020/6/14

関連:#109 / 小樽市 雨乞いの滝

関連:#230 / 小樽市 金比羅大本院(滝穴信仰)


監修 合田一道「目で見る小樽・後志の100年」2004/6 株式会社郷土出版社に、奥沢のヘビ被害の祈祷(小樽市・昭和初期)と書き添えられた写真が載っていた。 真ん中に白い大きな女性、手前には着物の老婆、背後には巫女さんなど数十名が写っている。 穴滝信仰と関係あるのだろうか。引用しよう。

奥沢水源地から4キロほど入った入植地は、現在ではまったくの無人の地となっているが、開拓地として入植者が住んでいた当時は、 場所柄かヘビが多かった。被害に悩んだ住人たちが、文字通りの”神頼み”とばかり、祈祷師に頼んで”ヘビ退治”をしてもらった。願いがかなってか、 以来ヘビは姿を消したと伝えられている。

とても興味深い記述だ。 (2020/7/21)


小樽の穴滝を見出したのは小樽金毘羅大本院の開祖である秋山宥猛和尚。 秋山和尚は北海道の金比羅山信仰の開祖とされ、洞爺湖で立派な金比羅寺を作って4ヶ月後に有珠山が噴火、大量の噴石を浴びて倒壊。その後倶知安を経て、小樽。一方で恵庭にも開祖とされる金毘羅寺がある。虻田町史第5巻に詳しいという。 2021/11/16

更新履歴
2020/06/09 記載
2020/06/14 その他追記
2020/07/21 その他、奥沢水源地についての写真について追記
2020/6/14
2020/6/14
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