乙部町 虫送りなどの習俗
■共同祈願
地区名:姫川・旭岱
名称:虫送り
誰が祈願するのか:
期間:最初は不明。戦時中は中断、戦後再開し、現在も行っている。
日時:6月末
祈願の方法:御幣をもった神主が集落全体の主だった田をまわり、麻を細かく刻んだものなどを田にまく。呪詞を書いた紙を竹の先に挟んで水口にさす。戦後は神社内だけで行うようになった
呪詞:
祈願の準備:
地区名:鳥山
名称:虫送り(田畑物)
誰が祈願するのか:母さん方(仮装し、桑の実の汁で顔に化粧する)
期間:最初は不明。昭和25年ごろまで
日時:7月末から8月初め
祈願の方法:米の粉で虫をつくり、野菜や果物などとともに船に乗せる。竿に旗(書いてあった文字は不明)をつけて先頭に立て、鐘と太鼓をたたいて呪詞を唱えながら集落全体を練り歩く。それから船を海に流し、浜で踊り騒ぎ呪詞をいう
呪詞:オグレオグレ 奥尻マデオグレ
祈願の準備:7月末から8月初めに年寄方が集まって日を決める
地区名:栄浜
名称:虫送り
誰が祈願するのか:女性
期間:最初は不明。終戦後(いつごろまでかは不明)
日時:マデシに穂がつくころ(土用のころ?)
祈願の方法:踊り歌いながら集落内の田畑をまわって歩き、マデシの穂(注)をまく。米粉で虫の形につくった団子を小さな船に乗せて一緒に流す
注:山で穂を採ってきて仏さんにあげておいたもので、米のかわり
呪詞:(歌・安田キエノ)
ハアオックレオックレオックレヨ
ハアナーンニチオックレバ
ドロンコムシオックレヨ
ハアオックレオックレオックレヨ
ドコマデオックレバオクシリマデ
オックルヨ
祈願の準備:
地区名:三ツ谷
名称:虫送り
誰が祈願するのか:子どもと老女
期間:最初は不明。50~60年前まで(吉祥寺
日時:8月ころ
祈願の方法:三ツ谷の旧国道を歩きながら百万篇のときの大数珠をまわす
呪詞:不明
祈願の準備:吉祥寺の住職が参加者に呼びかけて行った
妖怪・霊異
地区名:姫川・旭岱
妖怪の名前:沼の主(大蛇?)
内容:大川房義氏宅の田の側にある沼の縁の切り株で、女の人が髪を梳いていた。これが沼の主(大蛇?)。のちに大川久作氏が沼を埋め立てたので、沼の主は姫川の岩淵に移った。
対抗手段:
予兆
地区名:乙部
夢見(吉):ヘビやコンブの夢をみると、主にお金関係によいことがある
夢見(吉):蛇の夢をみるとお金が入る
地区名:栄浜
吉兆:蛇の夢をみると、なにかよいことがある
凶兆:蛇の夢をみると、なにかよいことがある人もいる
地区名:豊浜
生業の予兆と夢:ヘビの夢は大漁
夢見(吉):秋にみるヘビの夢は、ヘビが穴に入る季節なのでお金が入る
夢見(凶):春に見るヘビの夢は、ヘビが穴からでる季節なのでお金がでていく水や風呂に入る夢をみると風邪を引く
禁忌
地区名:豊浜
何を忌むのか(生業関係):漁師は出漁時の弁当に梅干しを入れない
※筆者注…龍神さまは梅干しが嫌いなことが関係している可能性が高い
佐々木馨「北海道の宗教と信仰」2009 山川出版社