#081 / 乙部町 竹森龍神神社

竹森山中腹にある池と龍神様の神社

住所
乙部町
緯度、経度
41.978946, 140.225585(ストリートビューで登山道確認可能)
※あくまで目安であり正確な情報ではない場合がありますのでご注意ください
由来

六十九話 竹森神社


九郎岳の麓に一つの小高い山がある。姫川の本流と支流にまたがるこの山は竹森といい、山頂に堂宇がある。いつの時代か創立年代はわからないが、「竹森山の頂上に山神社が建った。開祖泊弥兵衛」とだけわかる。竹森山は、海上よりはっきり認めることが出来るので、出漁者たちはこの山を羅針盤として出船、入船、操業など海の安全を守る大事な山であり、漁師たちも信仰をしている。

「ある時、乙部で生まれた一漁師が北の海で一代を築こうと発奮してオホーツクの沿岸に家族ともども住居をかまえた。

漁師は来る日も来る日も沖に出て、大漁しては港に帰る毎日が何十年も続いた。息子も孫も成長し、いくばくかの財をも成し、若かったこの漁師もいつの間にか老いた。何の不安もなく過ごした数十年――。

その後、老漁師は大そう思い病気にかかってしまった。医者にかかってもなおらない。身の上をみてもらっても病名もわからず、日増しに病気が重くなっていった。その時、老漁師は夢うつつ枕もとに銀色した一羽の雀が飛んできて一生懸命話しかけているのです。

『竹森神社からの使いの雀です。あなたは筋金入りのいい漁師だ。この竹森神社に願いをかけると、あなたの病気はなおります。』

と告げたとたん消えてしまった。漁師は銀の雀の告げた通り、乙部の竹森神社に来て供え物をあげ参拝して帰郷した。日増しに回復に向かい元気を取り戻した。ふるさとの山や川、海は本当に有り難いものだ、としみじみ思った」

竹森神社境内前に小さな池があるが、一年中水が枯れることのないのは不思議なことである。毎年六月には旭岱部落の有志によってお祭りがひらかれる。

また、この竹森は対象十三年五月三十日付けで林野庁が「航行目標保安林」として指定している。この航行目標保安林は北海道では一ヶ所しかなく大変と珍しい存在であり、自然環境に恵まれたこの山を、町のシンボルとして保存したいものです。

葉梨孝幸「おとべ百話 民話・伝説・史話」1999 乙部町史研究室
由来2

神の名前:竹森の龍神さん

何の神か:炭焼き(のちに漁業も)

祀っている人:炭焼き従業者(のちに漁師も)

祀っているところ:竹森神社

その他:※祭り(竹森龍神さんの祭り)5月5日ころに竹森山へ入る炭焼き従業者が祭りをしていたが、約10年前から人が入らなくなり、一時期大山神社例大祭と合同で行っていた。数年前からは漁師も参加して大漁祈願祭と名称も変化して祭りを合同で行っている。

佐々木馨「北海道の宗教と信仰」2009 山川出版社 P206
由来3
※未転記 坂口延幸「箱館昔話(七号)」1995/4 有限会社 パルス企画
参考資料・情報など
おとべ百話 民話・伝説・史話
葉梨孝幸「おとべ百話 民話・伝説・史話」1999 乙部町史研究室
「北海道の宗教と信仰」
佐々木馨「北海道の宗教と信仰」2009 山川出版社
「箱館昔話(七号)」
坂口延幸「箱館昔話(七号)」1995/4 有限会社 パルス企画
現地確認状況
確認済み 2017/5/13
確認 2022/6/3
その他

2017/5/13訪問。事前に登山口を確認していたお陰でスムーズに登山口まで辿りつく。(41.976453, 140.221763)。 案内は多くはないので地元の人以外が訪問する際は十分道順について確認しておく必要があります。


健康保安林として整備されている綺麗な散策路を急ぎ足で登る。トレイルランの雰囲気で時に小走りで山路を進むとあっけなく社に到着した。10分程度か。 道が整備されているので、最初の案内板で方向さえ間違わなければ迷う心配はほとんどない。 鬱蒼とした森の中に、比較的新しい建物としてそれはある。湧水の上にかかる橋を渡る。海からの目印として大事にされている山にある社は、ひっそりと森の中で大切にされながら息づいていると感じられた。 機会があれば海の上からこの山を眺めてみたい。




 漁師が目印にした竹森山において、漁の安全などを願って祀られたのが竹森龍神社である。創立年代は不明で、神社の目の前に年中枯れることがないという湧き水が池を作っている。

 道の両脇に広がる長閑な風景を過ぎた里山の森の中にある小ぶりな神社で、周囲は遊歩道が整備されている。2017年に僅かな時間立ち寄ったものの、心に残り続けている場所のひとつだった。2022年6月初旬、再訪。駐車場から10分程度、曲がり角を曲がって鳥居が見えてきた。神社の左脇が大きく綺麗に整備されていた。

 ふと気がつくと10メートル先の鳥居の元に何かいた。鹿ではない、犬でもない。熊であった。まだ若い1.5mほどの体格。バリボリボリと植物をかじっている音が聞こえた。あちらも自分で気づいた。私も熊も一瞬固まってどうするか考えた。私は動けなかった。

 熊は私に背を向けて森の方へ走った。 熊に会ったらどうするか、これまでの緩い知識が頭の中を流れていった。

 丁度カメラを首からぶら下げていた。逃げ出したのを良いことに、熊の方にレンズをむけて、ノーファインダーでシャッターを切った。熊は森の入り口にある木に2メートルほどよじ登ってこちらに振り返った。その後、私が動いていないことを確認したのちに、ゆっくり木から降りて森の中へと消え去っていった。

 少し気持ちが落ち着いてから三脚を出し、撮影用のカメラを取り出した。熊が去った森の場所からは目をなるべく離さず、カメラを三脚につけて神社脇の遊歩道を登り写真を撮った。

 車にも乗った車に戻っても動悸はやや高かった。車を走らせ、民家が見えるところまでたどり着いてやっと落ち着いた。車を停めて、乙部町役場に電話をした。

 後日調べてみると、2022年5月5日の例大祭の様子が乙部町の広報に掲載されていた。その際に神社のまわりが綺麗に整えられ、日当たりが良くなったことで美味しい野草が茂った。その結果、熊を呼び寄せたのかもしれない。何はともあれ被害がなくて良かった。

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https://www.hokkaido-ebooks.jp/?bookinfo=%E5%BA%83%E5%A0%B1%E3%81%8A%E3%81%A8%E3%81%B9%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B46%E6%9C%88%E5%8F%B7

https://static.hokkaido-ebooks.jp/actibook_data/e220531005/HTML5/pc.html#/page/3

2022/6/15

更新履歴
2022/06/15 写真掲載、そのほか追記
2020/07/30 参考資料追加「箱館昔話(七号)」
2017/05/17 その他を記載
2016/11/13 更新
2016/10/01 記載
2022/06/03
2022/06/03
2022/06/03
2022/06/03
2022/06/03
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2022/06/03
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