美幌神社 龍神社
調査中
留辺蘂 塩別つるつる温泉裏にある龍神の祠を出て、清里、斜里に向かう道すがら立ち寄る。 ピーカンに晴れて強い日差しが差し込んでくる。湿気はないものの日差しはまるで夏のよう。 前日の車中泊の眠りの浅さからくる眠気が体のほてりを一層助長する。
子どもの日が近いからだろう境内にはこいのぼりが所狭しと風に泳いでいる。 家族連れが様々に眺めたりこいのぼりと写真を撮ったり。その中でカメラを担いで一人うろうろとしている人間はその風景にアンマッチでありとても怪しい。 GWの陽気さに不似合いな姿でそこかしこを眺め、写真を撮っている。 仕方がない。
黄色い鳥居があり竜神社がある。その奥、雑木林にはまだ僅かに残雪が見られた。まだ5月が始まったばかり、春という季節を感じて何だか嬉しかった。 鳥居のわきにこの竜神社の由来が記載された石板があった。まだ由来を探し当てられていなかったこともあり、その内容にも目を見張るものがあった。
要約すると、「昭和17年に海軍航空隊が庁舎前に守護神として竜神社を作ったのが始まり。 昭和20年に終戦に伴って高台にあったものを美幌境内に移設した」とある。 こういった形で戦争の歴史が龍神様として残っているものには初めてお目にかかった。 戦争という忘れてはいけない悲劇においてそれの只中にあった人たちの祈りを想像する。 海軍の守り神として、家族の守り神として切なる願いが託されてきたのだろう。 社の隣にある小屋にかけられている「開運 美幌神社」と書かれた龍神様のイラストの絵は、どこか軽々しく滑稽に見えたが、 もともと龍神信仰に興味がない人にとっては、それによって興味を持つきっかけになりうるのだろう。
正直あまり期待していなかったと言っては失礼だが、由来もわからず竜神社があるという情報だけを頼りに立ち寄ったが、 地域の歴史、日本の近代史の一片を考えるうえでも貴重な経験となった。車を走らせると美幌町には自衛隊の美幌駐屯地があることが分かった。 調べてみると美幌町字田中という場所にあるという。それは海軍航空隊が当時いた場所、竜神社があった地域と同じだった。 どれほど両者の場所が近いのかわからないが、無関係ではないように思えたが詳しいことまではまだわかっていない。 と書いてから、もう少し調べてみるとやはり両者は無関係ではないようだ。 ひとまずここではリンクを張るにとどめるが、土地は過去の記憶と切り離すことはできないようだ。 【美幌駐屯地】 陸上自衛隊 第5旅団ホームページ
車は次の目的地 清里町 龍神神社 に向かう。この場所は 斜里岳龍神の池 と由来を同じくする場所で、今回最も行ってみたかった場所の一つ。そしてその後に立ち寄る斜里も楽しみで、この旅のクライマックス的な位置付け。 本丸突入で気持ちが高まる。十数年ぶりに斜里岳を見ることができるだろうか。
(2019/5/29)