#233 / 岩内岳の龍神

岩内岳の龍神

住所
〒045-0024 北海道岩内郡岩内町字野束
緯度、経度
42.927495, 140.509038
※あくまで目安であり正確な情報ではない場合がありますのでご注意ください
由来

調査中

参考資料・情報など
現地確認状況
未確認
その他

岩内町 郷土館でEさんに教えていただいた。 もともとは雷電神社にあったご神体が島野神社に合祀され、更には岩内神社に合祀される際に、信者の方によって岩内岳に運ばれたという。 岩内岳の登山道の7合目近くにあるという。

(2020/7/4)


話を聞いた翌週、居てもたってもいられず早朝に札幌を出発。岩内岳の登山口にはすでに10台近くの車があった。 登山の山として岩内岳を調べたことはなかったが、雷電山や目国内岳、パンケメクンナイ湿原に縦走できる眺望の良い山だった。

登山口から6合目ぐらいまでは傾斜も緩く、登山道は綺麗に整備されていてとても登りやすい。 この日は気温、湿度ともに高かったが、そんなに苦労することはなさそうだと高をくくりながら龍神を目指してひたすら上った。 久しぶりの登山で脂汗がたれて眼鏡に落ちた。 1000mぐらいの山だったが、後半、7合目を過ぎてからは傾斜がきつくなってしんどかった。

龍神のご神体は7合目手前にあるという情報を調べていたので、6合目を過ぎてからは注意深く両脇に注意を払った。 分かりづらいという情報もあったので、少しでも踏み跡らしい形跡があると立ち止まって奥に何かないか慎重に進んだ。 おかげで見逃すことなく左手にある入り口がわかった。 踏み跡も明瞭。 目印はほとんどないが、あえて言うと、途中にピンクテープが巻かれた白樺が2本ある。 頭上注意の意味でピンクテープを巻いているようで、その2つ目を過ぎてからすぐ左に入れるようになっている。 よく見ると、祠の赤い屋根が見える。

数メートル入ると、焼杉のような黒い外壁の祠が現れる。 釘で入り口は止めてあり中を覗き見ることはできない。 現在も信者さんによって祭祀が行われているようで、その際にはなかを開けるかもしれないとのことだった。 いやしくも隙間から中を覗いてみようとしたが、中の様子はまったくわからなかった。

石で掘られている龍神さんがある、という話を聞いていたので祠の観察は早々にして、先を進む。大きな岩を乗り越えて先の道を探したが見つからない。 と思ったら、足元に石彫りの龍神があった。高さ20センチぐらい、大きさ30センチ超の大きさ。 大きな岩の上に乗せられて、海の方を見ている。 ここに来る前に想像していたのだが、きっと龍神の視線の先にあるのが故郷の雷電なのだと確信した。 この場所から見守っているに違いない。 自然石の上に乗せられた姿は、事前に聞いていなければ間違いなく気がつくことがなかった。 信仰という素朴で純粋な人々の営みの蓄積の神髄に触れたような気がした。 もしかしたらご神体は祠の中にあるのかもしれないが、この像は海の守り神として今も穏やかな岩内の海を見守っているに違いない。

少し戻って祠を確認した。 土台の石積み、しっかりとした祠のつくり、やっぱり中が気になるけれども見えないその中身と、明瞭な踏み跡が示す人の往来を確認し、 いつまでのこの場所が大切に守られていてほしいと願った。

せっかくここまで(7合目付近まで)きたので、ピークまで登ってみることにした。 7合目から9合目までは予想に反してなかなか登りがきつくて、汗がぽたぽたと落ちた。 登山ってこういう感じだったな、と蘇ってきた。 場所の記憶を携えて登る山は、ただ頂上をやみくもに目指して登るよりも何倍も楽しい。 当時よりも体力が落ちて何倍か苦しいが、その苦しさの分だけ楽しさも感じる(ようにしているだけなのかもしれないが)。

十何年前までは羊蹄山を筆頭に毎週のように山に登っていた感覚を久しぶりに思い出した。 坂道を上るたびに風景が切り替わっていき、風も場所によって違い、自分の力のなさも感じることができる。 登山とは、頂上に登ることが目的というよりは、歩くたびに変わっていく風景を、自分もその一部として楽しむことなんだと再認識することができた。 9合目から頂上まではあっというま、ガレ場をすすんですぐにたどり着いた。 9合目付近にあった祠の跡らしき形跡と、石済みの建造物、鉄の扉がついていて、中にご神体を祀っていそうな雰囲気があった。 検索して見つけたネット上の書き込みによっては竜神社の古いものというものも散見されたが、どんな由来があるのだろうか。 帰り道にゆっくり見ようと登りでは時間を割かなかったが、帰り道にはあろうことか見逃して、7合目まで降りてから、見逃したことに気がついた。 頂上で出会ったガイドのような体躯の良い男性の話では、岩内の金毘羅神社も岩内岳に登っているらしいので関係があるのかもしれない。 たしかに、登山口に来る途中見かけたが、頂上からまっすぐ下の場所にあり、修行していても不思議ではない。

ピークには先行者が思い思いにくつろいでいた。 自分も奥の方にお邪魔させてもらう。反対側に抜ける道があり、その先、雷電山に登山道も見えて縦走できることがわかる。 10時過ぎのタイミングでは頂上はピーカン晴れ晴れ日差しが強い。 お湯を沸かしてコーヒー、そして朝食兼昼食を作る。楽してストックしていたアルファ米とカレー。 反対側からやってきた3人組のチームの方に話を聞いて、縦走路に湿地帯があり、沼もあることを教えてもらう。 高所にある沼の神秘性は見てみないわけにはいかない。 往復1時間程度ということで、ご飯を食べて一息ついてから沼をみようと縦走路を歩いた。 お花畑あり、沼あり、はいまつを抜けると天国のような美しい景色を満喫することができた。 帰宅して、小さなシリコン製のグリッパーと呼ばれる鍋掴みを忘れてきたことに気がついた。 単独だとあれが何かわからず、岩内岳にぽつんとオレンジ色の物体は置かれ続けるかもしれない。

帰り道に郷土館に再館して、再度Eさんとお話しさせていただく。 岩内は古くから漁業が盛んで場所請負の一つでもあった場所。 龍神信仰はこれまで探すことができなかったが、非常に豊富な信仰があったことがわかってきた。

登り始めてすぐにすれ違い、頂上でもすれ違った男女のペアに下山の最後でもすれ違った。 頂上では、ここまで来たら縦走しないで帰る人はいないと女性が話している声もしたのだが、ピストンしたようだった。 女性の方が言葉尻が強く声も大きく、二人の力関係をなんとなく想像しながら岩内岳を後にした。 頂上であった3人組の男性の一人が頂上で飲んでいたコーラを下山の時に思い出して頭から離れなくなってしまった。 下山してすぐに車を走らせてコンビニで良く冷えたコーラを買い求めた。車中で一気に体内に流し込んだ。俗世間の甘美な味がした。 汗をかいた後の冷たく冷えた炭酸飲料は格別で、コーラの刺激は恐ろしいほど気持ちよくなる。さすが、コカ・コーラ。 その後に立ち寄った登山口付近にあった円山という霊場は、びっくりするほど豊かな魅力にあふれる場所だった。 コーラを買いに行こうと車を走らせてすぐに入り口を見つけたのだが、コーラを優先して一度は通り過ぎた。 そこに自分の意思の弱さを感じた。

岩内円山展望台 八代龍神や円山龍神や髙山龍神?の碑

更新履歴
2020/07/04 記載
2020/07/12 その他記載、写真掲載
2020/7/11
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