厚田村 ポンピラの竜人堂
厚田村
ポンピラ=「乳貰いの女神」「霊験あらたかな神」。竜人堂(ポンピラ)=尾の扁平は海蛇が祭られてあり、他に三体の海神が厨子に納められていて、中央の一体は上位、他の二体は下位、厨子の裏側に嘉永三(1850)年戊年二月作也大坂二ツ井戸川南東がわ仏師岩井弥兵衛の墨書。
北海道教育委員会「日本海沿岸ニシン漁撈民俗資料調査報告書」1970 北海道教育委員会
竜神堂
海で仕事をする人に竜神さんを信仰する人が多い。ポンビラの竜神さんも一時は盛んであった。厚田の中番屋の浜にある祠も御神体竜神さんで、尾の扁平な海蛇が祭られてあり、他に、三体の海神が厨子に収められていて、中央の一体は上位に、他の二体は下位に、海面に立っているように模様が施されていた。その厨子にの裏側には、嘉永三年(一八五〇)戌年二月作也。大坂二ツ井戸川南東がわ。仏師岩井弥兵衛、と墨書してあった。
生命をかけて仕事をしている人は必ず何かを信じ、何かにたよる。これが人間の弱さで、人間の人間たる所以であろう。
昔栄えたポンビラの竜神堂も、鰊が採れなくなったためか、それとも時代の移り変わりのためか、信者の数も昔ほどではなく、国道二三一号線工事のため軽うじてその御堂が残っているだけである。
(以降略)
編著者 矢内鴻ほか「厚田村史」1969 株式会社中西印刷