#123 / 乙部町 旭岱の大沼の龍神伝説

乙部町 旭岱の大沼の龍神伝説

住所
爾志郡乙部町旭岱
緯度、経度
41.967683, 140.223250
※あくまで目安であり正確な情報ではない場合がありますのでご注意ください
由来

七十九話 小川の船越と大沼


鰔川と小川(旭岱)とは江差町と乙部町の境界にあたる。少し小高い峰になっているが、春の新緑はまさに絶佳で、自然のたたずまいをそのまま残している。

かつては寛保元年(一七四一)七月、大島の噴火で日本海岸の松前町から熊石町までの沿岸は大津波による被害で、ほとんど全滅に近い被害をうけた。死者も多数出たし家屋もこわされ、船まで流され、まことに悲惨な状態であった。

この時、海岸から六キロも山奥に入った江差・乙部両町の境界を越えて鰔川へ舟が流されたという。このことから「小川の舟越し」と呼ぶようになった。この大島の噴火によって乙部から逃れてこの小川付近に杣夫や炭焼きとして入地した者があった。


『この舟越しの近くに大きな沼があった。ある時、娘がなくなったので大沼の淵にたも木の大木があったのでその下に土葬して弔ってやった。何年かたった時に、娘の父が風と雨と雷の激しく降りしきる中、乙部から駄付馬でやっとの思いで和が家に帰ってきた時に、稲妻とともに大沼からもの凄い勢いで大蛇が昇天しようと幾度も繰り返している姿をみてしまった。けれどもこの大蛇がどうしても沼の淵に生えている大木のたもの木が邪魔で昇天することが出来なかった。

翌朝、天気がよく昨日のところに行ってみると、土葬したはずの自分の娘の姿がたもの木に引っかかっているではないか。昨晩あの風雨と雷の中でみた大蛇は、自分の娘がこの沼の主となり、昇天するにはあの大木が邪魔だったにちがいない。わが娘を昇天させるため、父はさっそくその大木を切り倒してやった。』

葉梨孝幸「おとべ百話 民話・伝説・史話」1999 乙部町史研究室
参考資料・情報など
おとべ百話 民話・伝説・史話
葉梨孝幸「おとべ百話 民話・伝説・史話」1999 乙部町史研究室
現地確認状況
未確認
その他
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更新履歴
2016/10/01 記載
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