雨乞いの対象とした、稲荷神社の水虎大神と称する石碑
水神を現実的なヘビやウナギを象徴とみる考え方は、きわめて古い時代からの考え方とされており、オロチや竜は現実的なヘビから導き出された観念的な存在であり、河童という奇怪な存在も、昔の人にとっては、自分たちの思想でつくり出した、母子神信仰から派出した少童水神であったと説明されている。
現在町に残されてるもので、昔雨こい祭りの対象となり、または水神に祭られたと見られるものは、一つはムジナ沢の竜神である。竜神は古来船乗りや漁師に、尊崇の厚い神でもあるが、神力ある蛇形の鬼神で、雨族と水族をつかさどる神とされ、農村にこれを祭ることは雨ごいの対象としてのものであった。他のひとつは東開発の、稲荷神社の境内にある水虎大神と称する石碑である。
あまごいの祭りは昔からどこでも行われた行事で、鉦を打ち太鼓を鳴らしたばかりでなく、雨こい踊りが踊られた。司祭は神道の側からも、仏教の側からも出て、むらをあげての行事であった。
飯田吉次郎編「大野町史」1970 大野町(北海道亀田郡)大野町役場